的日記 2003年12月  先月 - 最新月
 コラッツAnti@homeには反例発見時、参加者に知らせる仕組みが存在 - RSA100桁と129桁 - 続・分散C2暗号Crack - C2暗号へのブルートフォース - stats・マイルストーン・解析数への反駁 - 17orBustの12月 - RSA-576を実際に割ってみる / 経団連エンターテインメント・コンテンツ産業部会長:エイベックス社の依田さんと、日本レコード協会会長のエイベックス社の依田さん - コラッツAnti現状 - RSA-576 - ACCSはファイルローグになった?,次世代Winnyを妄想する - ZDNetアクセス数2位が素数発見 - GIMPS世界最大の素数更新 - プロジェクトへの賞金 - 世界エイズデー

2003.12.30 *
 メルセンヌ素数候補(2^p-1 pは素数)においてコラッツ算を行うコラッツAnti@homeでは、配られるjobが準備できていない場合などに、誤って「0」(ゼロ)を配布してしまうことが過去に一度ありました。


本日早朝、再び、そのような状態になっていたのですが、指数0が配布されるということは、
 と、マイナスの数においてループ状態に。

 それをコラッツAnti@homeのクライアントソフトはループ状態=コラッツ予想の反例発見と捉え、上記画像のように「反例発見!!!」と、告知窓を開いて私達参加者に教えてくれたようです。

 ここまでプロジェクトにおいて決定的に重要な情報を参加者に伝えるものは、クライアントが自動化されているプロジェクトにおいては、GIMPS以外ではコラッツAnti@homeしか存在しないように思います。

 世界最大の素数記録を更新する5ヶ月前に起きたGIMPSの虚偽報告事例で、GIMPS運営者の語るように、実証されるまでクライアントソフトが発見したものを発見者からさえ秘密にする大部分のプロジェクトでは、なんらかの間違いがあっても参加者に知られることのないまま容易に排除することができるでしょう。

 ですがコラッツAnti@homeは、参加者に重要な情報を開示してくれている。
 もしかしたら、それによって問題が明るみになり、プロジェクトを傷つけたり、信用を落としてしまうこともあるかも知れない。
 それでも参加者に情報を告知してくれる。

 私個人は、このコラッツAnti@homeの情報開示のポリシーは素晴らしいと思っています。

 コラッツAnti@homeは、(言葉は悪いですが)口先だけの「結果の情報公開」・「結果をオープンに」ではなく、クライアントソフトにしっかりと組み込まれた、「結果の情報公開」・「結果をオープンに」です。


2003.12.28 *
分散 C2 総当り攻撃が1日弱のメンテナンスから明けて再開。

POV-Rayで動画制作のIMP (Internet Movie Project)が12/25にJob#19 Seasons Greetings(120フレーム)という、いかにもクリスマスもののjobを開始。
 動画の公開はまだですが、IMPは、もう大作志向は完全に捨ててしまったのだろうか。
 The End of...が、その傾向なのだろうか。


2003.12.27 *
ビッグイシュー2号・3号を読む。
 1/8発売の4号の予定は、矢井田瞳インタビュー。

 国内でも大物アーティストへのインタビュー体制をもう整えられたとは。


2003.12.23 *
分散C2暗号Crackが、MMX対応高速クライアントをリリース。
 cele533MHzで1block、1980秒から、850秒に短縮されるという優れもの。
 延べ500台を超える参加で、サーバ側負荷の問題が出てきたそうです。

 将来的には、かつてのd.netのように、次期クライアントでは、blockをまとめたpacketという概念が登場してくるのでしょうか。
 公式ページの進捗画像は、1ラインが0.390625%。
 2ライン半で1%ですね。


一般参加型 分散コンピューティングの歴史について、山根信二さんから、Arjen Lenstra氏らの呼びかけによる、1988年のRSA100桁解読と1993-1994年のRSA129桁解読の情報をお寄せいただきました。
 ありがとうございます。
 時間と能力が許せば、いずれ調べて、組み込ませてもらいたいと考えております。
 一般参加型が1996年から始まったという冒頭部分は、大幅に書き換えないといけませんね。

まずは、教えて頂いたURLと情報だけでも。
http://link.springer.de/link/service/series/0558/bibs/0434/04340355.htm
http://www.ecip.tohoku.ac.jp/~shizuya/ISCtalk.pdf(静谷啓樹教授による講演 P.14)

http://citeseer.nj.nec.com/1393.html
http://www.mew.org/~kazu/book/pgp.html
ガーフィンケル「PGP: 暗号メールと電子署名」第4章 PGPの歴史 (p.114)
「暗号化」 Slouching Toward Crypto(苦難を乗り越えて)の章に 詳しい経緯が紹介
・SETI@home発案は1995年。計画発表,ボランティアの開発者・翻訳者募集が1998年。


2003.12.20 *
 c2暗号に挑むc2bクライアントはタスクトレイのみで確認できるようです。
 クライアントソフトにはソースコードも添付されています。


テキストでのログ機能がありますので、ちょっと見てみましょう。
cele533で30分程度で1block終了。
 blockの桁数から16^6で全block数は16777216blockでしょうか。
 鍵空間が56bitとのことですから、2^56=7京2057兆5940億3792万7936鍵。

 となりますと、1blockに含まれる鍵数は42億9496万7296鍵でしょうか。32bit値ですね。
 旧RC5-64で言う16work unit分。RC5-72では1work unit分。

 web上の進捗表示の画像ファイルは256*256=65536pixel。
 256block進むと、1dot塗りつぶされる計算に。
 埋めていく感覚が快感なのか、やっぱり暗号ものプロジェクトは、なんか楽しいですね。


2003.12.19 *
分散 C2 総当り攻撃(Distributed C2 Brute Force Attack : Status Pages) otsune氏の日記より
 win版が稼動中。
 C2暗号に対して総当り攻撃を試み鍵推定を行うそうです。

 C2暗号も含めて、今から調べたいところ。

 まだ概観が掴めていないくせに言うのは憚られることですが、99年秋著作権法改正の技術的保護手段とかは全然関係ないことなのかな...Tivo Crack2003-01-04頃再来のような...


2003.12.17 *
スポーツとしての SETI@home(おうちでできる天文学 2003-12-17 荒川靖弘氏)
 SETI@homeにおいて16位という強豪チームTeam EDGEでのお話。

 かなりの発言が既に削除されていますが、チームメンバーのマイルストーン(記念となる解析数)を積極的に告知し祝うチーム公式Webページに対して、「解析数偏重」と反発する声があったということのようで。

 まず最初に思ったのは、SETI@homeには開始から4年半たった今でも、議論が白熱するだけのエネルギーが残っていることが羨ましいということでした。

 自分は賞金という観点から書きましたが、『「勝者」を決める方法』が根っこの部分と言いますか、つまり一番重要な部分なのかも知れませんね。

 賞金は、『「勝者」を決める方法』の適正さでも重要に機能するように見えます。
 第三者からもらう賞金は、栄誉の透明性・正当性を担保することが可能。
 第三者(例えばRSA社)から賞金をもらうなら、当然、支払う第三者が結果を検証をし、それが正しいことを認めた上で払う。

一方、Find-a-Drugのマイルストーン等は、どちらかというと内向きに見えます。
 国立健康研究所(National Institute of Health)によるテストで「実際の調査の結果、****は抗ガン特性を持っていた!」と記載されていても。

 その理由は、検証の困難さにあると思う。
 いや、見知らぬ世界についての検証はどんなものでも困難だとすると、公開されているデータでの検証の余地の少なさも大きいでしょうか。

「5359*2^5054502+1が素数である」
 という検証しようと思えば誰でも検証できるポジションに結果を置けるものに比べると。

 荒川さんは「スポーツ」を個人的には嫌いながらも、「スポーツ」として成立するギミックに何か一工夫できないかと考えておられます。

 方法の一つとしては、様々な価値観に基づいた様々な勝者を作ることがあるようにも。

 distributed.netのOGR(最短ゴロム定規)では、1解析ユニットに含まれる解析量が違い、解析量の最大のものと最少のものをランキングする「スポーツ」が行われたりしました。

 何が配られるかは、今配られているノード番号から大体予想できるものの運が絡む要素も多く、配られる運・今配られている解析ユニットのデータからの推測・CPUパワーで大量にこなす。
 この3つがうまく絡み合った面白いものでした。

 United Devicesでは、解析した病気の原因となる蛋白質と結びつく薬剤候補である分子の数がHit数として表示される仕組みでした。
 そこでTeam 2chではHit数を競う「スポーツ」もありました。

 SETI@homeだと....人為的なものも含めて最も強い電波ランキングとか,逆に最も平坦なワークユニットランキングなんてのも....SETI@homeにはディープに参加してる人には笑われそうなアイデアですね(汗)


2003.12.16 *
ちょうど一年前Seventeen or Bustは我が世の春を謳歌していました。
 2002年12月に4つの素数発見。
 処理能力は1TFlops越え。
 しかしその後は、ぴったりと発見は止まり、一年が経過しました。

 今月、ようやく遂に、17orBustは、152万1561桁の素数5359*2^5054502+1発見に成功。
 GIMPS以外で初の100万桁超え。

 17orBust側のリリースタイトルは「Tis the Season!」
 「その季節がやってきた!」とでも訳せるでしょうか。

 おめでとう>Seventeen or Bust


2003.12.9 *
RSA Challenge  -  発見された因数2つ
 実際にGauss計算ソフトで割ってみたら、二秒とかからなかった。 いや、まあ普通に使われるレベルの暗号強度ですから、当たり前といえば当たり前ですが....


相手が違うのでは? (benli)
 音楽CDの輸入権について。

 文化審議会著作権分科会(第9回)議事要旨によると「関係者間で合意形成が進められつつある事項等」に輸入権も挙げられている。

 輸入権を求める日本レコード協会が協議すべき相手として挙げられているのは、経団連。
 経団連は確か輸入権を「保護主義」と言っていたように。

 で、経団連エンターテインメント・コンテンツ産業部会長:エイベックス社依田会長と、日本レコード協会会長のエイベックス社依田会長が、協議を進めているらしく、「関係者間で合意形成が進められつつある」んだそうだ。

 中の人同士だから一致するのも早そうだ。

 benliを運営されている方(小倉弁護士でいいんですよね)の言うように、なんで消費者、最も音楽を楽しむ人の声が反映されないのだろう。

 既存の大手メディア企業による著作物関連の動きには、他の人がいっぱい書くこともあり、既に成熟していて驚かせるような新しい形のものも余り期待できそうになく、余り興味が無いのですが、法律を変えてしまうとなると、やはり少しは気になります。
 ちょっと流れを追ってみましょう。



2003.12.7 *
Collatz'sAnti-Example@home現在の状況を公開。
現在、20台のコンピュータが参加。
 私は現在の他のプロジェクトなどと比べても、順調に進んでいるほうだと考えています。

 「どこがだよ。世界には450万人参加するプロジェクトもあるのに」と言われそうですが、今の世界の他の状況を見る限り、悪い数字ではないように考えています。

 同様のプロジェクト内容で、コラッツAnti@homeの一月ほど前に始まったGrid on Tapにおいても現在100名強の参加者です。
 英語で世界中から参加者を求められるGrid on Tapでさえです。
 コラッツAntiは一ヶ月ほど休止していたことも考慮すると、他のプロジェクトと比べても悪くないといえると思っています。

 数学系、中でも、求める答えがまず無理なものに挑む系統のプロジェクトで賞金もかかっていない課題となると、なかなか人々は振り向いてくれません。

 その一方、プロジェクトを運営するKanbayashi氏は、様々な人々の要望を取り入れながら、クライアントソフトの改善・多機能化からサーバ側冗長性の改善など、分散コンピューティングのサーバ・クライアントシステムの完成度を高めていっています。

 「このプロジェクトのテーマはいつか変えるかもしれないので、もし、練りこんだアイデアがある方がいたら、ご一報ください。」
 とのことなので、ある程度の指数・桁数で打ち止めにし、「2^******までメルセンヌ数でコラッツ算してみましたが全て1になりました。」と、結果を公表して、別のプロジェクトに移るのかも知れませんね。


2003.12.6 *
RSA-576がボン大学の人に因数分解されたらしい。  計算機暗号屋日記より
 RSA-576は賞金の存在・難度的にも旨みのある課題だと思っていたのですが、
 数体ふるい法で因数分解やってるNFSNET辺りがやってくれたらなぁ...と思っていたのですが...

sdoson氏のplanによると、Symantec Norton Anti Virusのdistributed.net誤認識問題は、次の水曜日の更新で改善される予定。
 日本版はいつなのかは不明。


2003.12.5 * ACCSはファイルローグになった? / 次世代Winnyを妄想する
ACCS、Winnyユーザー逮捕への経緯詳細を説明 〜京都府警の依頼で、送信可能化になっている著作物の同一性を鑑定(impressWatch 2003-11-28)
 もしWinnyが接続すると同時に、他者の共有しているファイルのカタログ情報を、別の他者へ提供する機能を果たしているなら、6/15にも記載したようにこれは裁判によりサービス停止に追い込まれたファイルローグのやってることと同じことと言えます。(主体的であるかという違いはありますが)

 ファイルローグ裁判を「極めて常識的な判断として評価」しておきながら、ACCSはファイルローグと同じことをやったんだとしたら、かなり問題だと思うのですが。

 ひょっとして、完全なP2PであるWinnyとはいえ、自らは他者にファイルのみならずファイルのカタログデータの提供すらしない機能があるのだろうか。
 Winnyにそんな機能があるのか、ちょっと検索してみるも判らず。

Winnyに参加しただけで摘発も? 〜ACCS (ZDNet 2003-12-04)
 あ、ACCS自体、こう言ってますね。
 って、数日前「いちWinnyユーザー的な利用方法を用いた調査」って、要はWinnyにACCSも参加したのだと思うのですが、自分達はWinnyに参加してACCS非加盟の他者の著作物を他人に提供するカタログ情報を提供したけれども、これはACCSだけは特別にOKなのでしょうか?
 謎です。

 まぁ、こんなネトネト・ネチネチした話はこれぐらいにして...


日本でのファイル共有ソフトの進化は、世界でも特にユニークなものに見えます。
 とはいえ世界中のファイル共有の世界のことを、よく知ってるわけでもないのですが...
 まず、日本は世界でも珍しい、ファイル共有ソフトにより利用者が警察に逮捕されたという経験を持つ国です。
 そして、世界初(?)のファイル共有ソフト利用者逮捕事件を端に登場したWinny。
 ではWinny利用者(?)逮捕で、次世代のファイル共有ソフトはどうなるのだろうか。

 このまま、逮捕→技術革新→逮捕→技術革新→逮捕→技術革新→逮捕→技術革新→逮捕→技術革新...と行くと、とてつもなく凄い形のソフトウェアに進化するのだとしたら、とても興味深いです。

 私はWinnyのようなソフトウェアを使うのは、知らない間に他人の著作物を共有し他人の著作権を侵害してしまう可能性の高い危険なことなので、辞めたほうがいいことだと思っています。

 ACCSの言うように、「ファイル交換ネットワークに参加すること自体、摘発につながるということは言えるのではないか」ということを念頭においたほうが良いです。
 Winnyに参加したACCSがおっしゃるのでしたら間違いないかも知れません。

 しかし、これらの技術は、どんな形ではあれ権力と戦うという目的を元に、とてもアグレッシブな進化を遂げているように思います。
 そしてそのエキサイティングな現場に注目するのは技術大好きおたく等なら当然、注目してしかるべきでしょう。

 少しファイル共有ソフトの世界、Winnyの次の進化を予想してみましょう。
 簡単にまとめると、
   1.ファイルの分割した上での分散化
   2.共有フォルダ(Upフォルダ)という概念の廃止。それに代わる「ネットワークごみ箱フォルダ」
 ではないかと考えています。

Winny 逮捕者を受けての動き (P2Pラジオ講座補足資料 P2P TODAY 横田氏による)
次の技術としては、やはりファイルの分割化があげられています。
 分割して置いておけば、より判らなくなるし犯意に関しても少しは曖昧になるとも言えるということでしょうか。
 しかし、分割しても同一者の元にあれば、それは分割の意味が薄れてしまいます。

 Winnyのキャッシュシステムは、恐ろしいことに、参加者の知らない間に、他者の著作物ファイルが手元のHDDに保存され共有するシステムだそうです。
 そこで、では知らない間に、分割・暗号化された断片ファイルを数百人に分散して置いておくという形を取るのではなかろうか。

 そして、今のWinnyにもしUpフォルダ(共有ファイルフォルダ)という概念があるなら、これをなくしてしまうべきです。
 Upフォルダ(共有ファイルフォルダ)に置いていては明確な犯意を証明しているようなものです。

 じゃあ最初にファイルを共有するにはどうするか?
 単純に暗号化してキャッシュにして共有しているだけでは同一視されてしまうかも知れません。ゆくゆくはこれも廃止でしょう。
 キャッシュに変換して暗号化して分割・分散、そしてその次の概念として、新しく「ネットワークごみ箱フォルダ」という概念が出てくるのではないだろうか。

 ファイルを「ネットワークごみ箱フォルダ」に入れると、そのファイルは、暗号化・分割されネットワークに分散する。
 そして分散しネットワークに浸透し切った頃合を適当に見計らって、自動的にその大元のファイルをファイル共有ソフトが削除する。

 ファイル共有ソフトのネットワークには、常に、分割化されたファイルの断片だけが漂っている。
 こうなると、もう誰を捕まえたらいいのか判らない。
 ただし、効率は恐ろしく悪いように思います。

 権利管理団体から契約を取り付けて、ビジネスとして大容量・広帯域で、ゴミファイルを大量に「ネットワークゴミ箱フォルダ」に廃棄することで、ネットワークを麻痺させたりすることも可能かも知れません。
 それはそれでカオスで面白そうです。(他人事ですみません)


2003.12.4 *
ZDNetJapanのメールマガジンで昨日のアクセスランキングトップ30というものがあります。

12月3日(水曜日)は、
 1位が「Living Plus:PSX、仕様変更の“なぜ?”」
 2位は「News:「最大の素数」見つかる」

 み、みんな、そんなに素数が好きなのか。


2003.12.3 *
GIMPS、632万0430桁の素数2^20996011-1発見
 「素数発見。検証に入る」との発表当初から、PrimeNet上でなのかGIMPS運営側に帰ってきたデータをウォッチした上で推測しているのでしょうが、フォーラムでは、「指数は2040万台」,「2020-2060万台」などと予想されていました。
 驚いたのはフォーラムでのPrimeCruncher氏の発言(2003-11-30)。  凄いです。予想通り。

 これにはPrime95(George Woltman)氏も驚いたのではなかろうか。
 48時間以内に正式告知を表明した際の発言より。(2003-12-01)


2003.12.2 *
分散コンピューティングプロジェクトに賞金は必要か?
 今の私は「あったほうがいい」という考えに至っています。
 その大元には、「勝者がいたほうがいい」という考えがあります。

 statsにおける解析数の競争が一般的ですが、これは完全に計画されたインフラの戦いです。
 インフラを持っている者が勝つ戦いです。

 それだけでなく、別の基準として、最も重きが置かれる勝者が、運が絡む要素によるもので存在したほうがいい。

 暗号解読・素数発見は、典型的なstatsに寄らない勝者がいるプロジェクトに該当するでしょう。
 Find-a-drugは、「****は、試験の結果、抗がん特性を持っていた」と個々の参加者にマイルストーンを提示するサービスを行っています。

 しかしマイルストーンを得るために人々がどれだけ集まってくれるでしょうか。
 マイルストーンを得ることを目的にチームが形成されるかを考えると、積極的な参加者増のためのギミックというより、参加者維持のためのギミックに見えます。

 実質、賞金をもらうことを期待していなくても、大義名分だけでも賞金のためなら人は集まれるように。
 かつてのオープンソース系ソフトウェアのユーザーグループは、そうであったように見えます。

 参加者が集まらない時代、また、ほんの数名の勝者を生む形の賞金を大きく掲げるプロジェクトが出てくるようにも。


2003.12.1 *
本日は世界エイズデー。国内イベント一覧電話で聴くだけで通話料収入などをネルソン・マンデラ財団に寄付(WIRED 2003-11-27)

 「愛の反対は憎しみではなく無関心」というのは本当だと思う。

 私はアフリカでの感染爆発、それに対する世界の無関心を見て、世界に良心というものに期待してはいけないと思いました。
 「期待」という言葉に反発があるなら、「見込む」「前提にする」でもいいです。

 サハラ砂漠以南のアフリカで若年・青年層の3割がHIVに感染するような国が出てきても、ほとんど関心を持たない。
 もしアフリカの人々が世界中に関心を持ってもらおうと思ったとき、どうすればよいだろう?

 今のようなコンサートの開催も有力な手段でしょう。
 でも9.11のようなテロを起こすことが最も費用対効果の大きい方法と考える人達だって出てくるのではなかろうか。

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