2002年9月28日、SlashNetのIRCにて、distributed.net運営メンバーをゲストに迎えての質疑・討議が行われました。
 そのIRCのログから興味深い内容を掻い摘んでみます。
 翻訳の精度はかなり低いことを予め断っておきます。

最終更新日:2002.10.15 (RC5-72の処理速度に関する回答(18:41)を修正。意味が逆でした。すみません。&その部分別の方の発言更に追記)


・d.netはどのように6000$の賞金を使いますか? (17:19)
 もちろん牛の干し草に! ;P (Decibel 17:20)
 時折、サーバをアップグレード・リプレースしなければならない。それらの経費に。そして、帯域幅とcoloスペースの多くが寄付されるが、そうでないいくらかがある。 (BovineOne)
 501(c)(3)免税資格を確定させる前に、潜在的な大きな法律上の請求に直面する。臨時の501(c)(3)免税資格が与えられ、確定前に、義務に従って行動したことを保証するために再調査を受ける。 (Nugget 17:21)

・d.netは非営利なままですか?処理能力の販売について考えがありますか?
 distributed.netは常に非営利のベンチャーであるでしょう。公共利益とボランティアによって引き起こされる分散コンピューティングプロジェクトの役割が常にあるだろうと強く感じています。 (Nugget 17:24)

・statsデータベースのサイズとstatsサーバのスペック (17:38)
 全参加者のデータを含むメインテーブルは5000万列以上,データベースは9GB程。 (Decibel 17:39)
 今はオンラインで見れないRC5-56のデータは338000列。 (Nugget)
 Xeon PII 450MHz x4(quad)機にメモリ2GB。raid1とraid5により、6つの36G SCSIドライブを持つ。 (Decibel 17:41)

・クライアントの自動アップデート機能 (17:45)
 セキュリティ問題・ユーザーの優先権・マシンポリシーにより意図的に組み込まなかった。古いクライアントソフトの速度・利点などを好むユーザーのためにも。 (BovineOne)

・このコンセプトが実証された今、悪意のある者により、オンライン銀行で使われる暗号を解析する類似の分散処理システムに使われる可能性があるのでは? (17:55)
 それには大量の計算能力を持つ必要が。d.netが持つだけの計算能力は見つけにくい。そしてd.netの計算能力でも、何年もかけた上でRC5-64のメッセージをクラックしただけだった。 (dbaker)
 しかしながらワームによって実装された悪意のある分散コンピューティング・エンジンに、重大な危険性があると感じる。 (Nugget)
 現実に、永久に安全な暗号化の方法は無い。「どれぐらい長くの間、機密のままである必要があるか?」という問題が常にある。 (dbaker)
 オンライン銀行のために必要とされる暗号は非常に時間制限に敏感です。実用的であるためには、ほとんどリアルタイムにhackする必要があります。これを覚えておいて下さい。 (Leto_)
 http://www.distributed.net/trojans.htmlで見れるように、以前に何度か、侵入されたマシンでd.netクライアントを走らせることをターゲットとするワームがあった。 (BovineOne)

・d.netのインフラについての将来の計画 (17:58)
 P2Pと常時接続の普及によりワームのような悪意あるネットワークがセットアップされる危険性は増大する。解決方法は、それら悪意ある人々より先行することである。将来のVersionで行おうとしているものの1つは、信頼の輪(web of trust)を可能にして、悪意のある又は不正行為をしているクライアントをフィルターする公開鍵セキュリティを構想している。 (BovineOne)

・素因数分解コンテストへの参加
 d.netのネットワークに最適な素因数分解アルゴリズムとして、Lenstraの楕円曲線法のアルゴリズムを見つけだした。RC5-72にプライオリティ(優先権)がありますが、利用可能になるよう期待する。 (acidblood/始めて名前を見るが彼も運営メンバー?? 18:03)

・OGRの進捗状況の表示は? (18:05)
 結果は徹底的に照合・確認されたものになる。全てが正しく一致するまで言えない。辛抱強く待って欲しい。(多分) (bwilson 18:07)

・GUIクライアント
 Win32クライアントはグラフモードを持っていてなかなか良い。 XML-RPCかSOAPをベースに、外部プログラムから接続できるオプショナル・オープン・ソケットを提供する方法を調査している。 (BovineOne 18:18)
http://www.distributed.net/source/specs/xml/xml-spec.html

UDとdistributed.netの関係  (18:23)
 distributed.netのコアチームの多くがUDで雇用され、過去6年間無料で(d.netで)やってきたことを行って、お金が支払われるという至福の立場にある。 非常に基礎的なレベルでは、UDが、私達を雇用し、更にdistributed.netネットワークに設備と帯域幅を寄贈することによりdistributed.netを維持するよう手助けする。 (Nugget)
 強力なstatsマシンもそれが占拠するcoloスペースもUDにより寄付された。 (Decibel)
 キースタッフ全てが(テキサス州)オースティンに転居してきたのもコミュニケーション等で利益だった。 (Nugget)

・RC5-72はRC5-64と比べて処理速度は落ちるか? (18:41)
 32bit機でのRC5-72について著しく悪いと若干当初は心配していたが、現在、パフォーマンスヒットは、ちょっとしたものになるようには見えない。(Nugget)
 なされる仕事の量は同じです。問題はキーの格納に72bitを必要とするということです。そしてそれは32bitのCPUで96bitあるいは3つのレジスターをかき集めます。RC5-64はキー毎に2つのレジスターを必要としたものでした。そしてこれは大抵、レジスタ割り当ての頭痛の種です(x86のようなレジスタのひどく不足しているアーキテクチャでは)。しかし他のアーキテクチャ、特にRISC機は、それほど影響を受けないでしょう。(acidblood)

・RC5-72はいつ頃?
 まだバイナリーでは無いが、既にソースコードが公開されているように、クライアントソフトのほうは対応している。サーバとproxyの変更は大部分がなされた。若干の内部テストを行う。準備ができる1・2週間前に発表する予定。 (BovineOne 18:46)

・入力データ改竄検出・デジタル署名などに利用されるメッセージダイジェスト関数MD5(RFC1321)へのアタックを提案する。 (18:52)
 将来的には考慮するが、まずはOGR,RC5-72,ECM(楕円曲線法による素因数分解) (trashover)
 UDの同僚(原文:my cow-orkers at UD)もまたMD5を提案してきた。 (BovineOne)
 参加者に多くの選択肢を与えるのには賛成。 (bwilson)

・私の古いAmiga1200でもRC5-72は走る?
 絶対的に。遅いハードウェアでキーを見つける尤度(liklihood。likelihood(可能性)のタイプミスか!?)を増やすために、皆にこのようなマシンで参加するよう奨励する。 (Nugget)
 RC5-64よりRC5-72のブロックサイズは大きい。どれ程大きいかは内部で議論中 (BovineOne 19:03)

・SETIは大きなメディアに取り上げられているがRC5-72は?
 小さい記事の中で、RC5の仕組みとゴールを要約することは難しい。 (Nugget 19:10)
 SETIはメディアを惹きつけることに利益を持っていた。我々はgeek(コンピュータおたく)がよく気に入る傾向がある。そしてそれは我々の成長を遅くした。我々はSETIより先行するけれども、SETIの人気は同じく我々のプロジェクトの認識を高めた。 (BovineOne 19:11)
 SETIが登場した時、我々は我々の成長にスパイク(spike:波の頂点,大釘,穂)を見た。プロジェクトはどれも可能性があるマシンの小さな割合しか得られていないため、競合状態であると見なすのは難しい。 (Nugget 19:13)

Itanium/Opteronに最適化することは考えていますか?もしそうであるなら、どのプラットフォームが最適か?
 64bitのマシンは、どんな場面においても(32bitマシンより)RC5の役に立つとは言えない。アルゴリズムはmodulo-2^32の演算をコールするので、基本的に64bitの中に32bit機を「シミュレート」する追加の命令を必要とする。 (acidblood 19:15)


リンクはもちろん、転載・改変した上での転載及び公開等はご自由にお願いします。
 このページに間違い等ありましたらMat(mat-t@mh1.117.ne.jp)掲示板までご指摘頂ければありがたいです。
top - 各種分散コンピューティングプロジェクトの紹介 - 牛の確率と電力費
Mat(mat-t@mh1.117.ne.jp)