石橋駅に着いたぜ。結構、閑静な住宅地って感じだな。エコールの野郎、こんな所に住んでやがるのか。社長が石橋近くに家でも建てたのか。
まずはアンリを元に戻さないとな。折り畳みアンリを手で抱えられるのはいいが、汗でいびつにゆがんできたし、早く改札から出ちまうぜ。
越前は東と西2つある改札のうち、近い西の改札から出てアンリを組み立てた。
「ん〜…ここどこ??」
「気が付いたかアンリ。もう石橋駅だぜ」
「えっ!?もう着いちゃったの。わ〜〜い。あれ!?左手が曲がってる……」
「細かいこと気にするな。俺だって足の長さが左右で違うんだ。で、これからどう行くんだ?」
「えっと、駅出て道なりにまっすぐだよ。交差点の手前で右に見えるビルの中がエコールなんだ」
「いよいよ近づいてきたな。よし行くぜ!!!」
越前は乗り気だったが、アンリは返事をせずに、まだ曲がった左手を気にしている。
越前とアンリはまた歩きだした。アンリの歩く速度に合わせて3分程歩いたところで、交差点の前のレコード屋が1Fに入ったビルにさしかかった。
「あっ、ここだよ。ここ」
アンリの言ったビルは、カラオケ,レコード店,パブ,居酒屋が入っているビルで、ソフト会社が入居しているようには感じさせない。
「おいアンリ。エコールってどこにも書いてないぜ。ほんとにここなのか?」越前はそう言ってクリムゾンをチラリとアンリに見せた。
「ほ、ほ、ほんとうだと思うよ。こ、ここの6Fだって話だから」
どうも不安だぜ。しかし他にあてもないしなぁ。じゃあ早速……