デスクリムゾン アドベンチャープック

No.9

 グレッグの野郎とも最近は連絡取ってないなぁ。ダニーんとこに電話した事だし、せっかくだからグレッグのとこにもかけてやるぜ。しかし、これといって用も無いし、女の声使っていたずら電話してやるぜ。
 越前はリムブルク大学に電話をかけ、グレッグ教授の内線番号をプッシュで選択した。

*トゥルルルルル……*

「はい。考古学室 グレッグです」
「あたしよ。あ・た・し☆」越前はいつもより更に輪をかけて裏返った声を出した。
「学生の悪戯か……よほど暇なんだな。時間が無いんだ。切るぞ」
「10年前遺跡で火事場泥棒した事、喋っちゃおうかな〜〜。傭兵って、そういう事していいの?あたし判んな〜〜い。」
「誰だお前…クリーチャーか?…………とにかく用件を言ってみようぜぇ」短くシャープに喋っていたグレッグも、傭兵時代の事を持ち出され、つい以前の喋り方を少し取り戻す。
「じゃあ、デスクリムゾンのOP曲を声に出して唱ってぇ。唱ってくれたら、ぜぇ〜んぶ忘れてあげるっ☆」
「君、なんのためにそんな事を要求するんだね……真意を聞かせてくれ……」
「教授になれたのも古文書のおかげなんでしょ?すっごいなぁ、あたしもあの遺跡に行ってみたら、何か手に入るかなぁ」
「………とにかく唱ってみるぜぇ」

「ずっずっちゃあ ちゃららららぁらら ららっらー ららぁらー
 ずっずっちゃー ちゃららららぁらら ふーーん ふふー ふーん ふーん ふー ふー
 ちゃららぁら ちゃらちゃっちゃらー」

「あれぇ?あいだかなり飛んじゃってるよぉ?どうしてぇ〜、もっと唱ってぇ〜〜」
「うっ、うぅぅ、か、勘弁してくれぇ……」
「あれぇ?グレッグくん泣いてるのぉ?大丈夫ぅ??」
「あ゛ぁ゛、なんとかな」

 ひひひひひひ、笑いをこらえて、この声出すのも大変だぜぇ。そろそろ正体開かしてやるか。
「グレッグぅ、俺だぁ、越前様だぁ、ひっひっひっ、全部テープにとったぞ、こらぁ」
「ひぃっ」
「あ〜っはっはっは。テープにとったってのは嘘だぜグレッグ。今、重要な電話を待ってるところなんだ。もう切るぜ。だから、怒ってかけてくるなよ」
「重要な電話を待つ身なら、何故ここに電話する!!」
「せっかくだから、暇つぶしだって」と言って越前は、グレッグの怒鳴り声が聞こえる前にと、すぐに受話器を元に戻した。

**ジリリリリン**

 それから数分後に越前の家の黒電話が鳴った。
「お、ダニーだな。グレッグならすぐかけてきやがるはずだぜ」そう思い越前はすぐに受話器を取った。

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