デスクリムゾン アドベンチャープック

No.23

 そうだ、エコール社の1作目「ぱっぱらぱおーん」を買ったままプレイしてなかったぜ。確かワゴンセールで980円の時買ったんだよな。人々の教化のために採算度外視で作品を市場に送り出すエコール社もなかなか大したもんだぜ。

 越前は、サターンにぱっぱらぱおーんのCDを入れ電源を入れた。セガサターンおきまりのセガ社のライセンシー表示が画面に映る。
「いつもくだらねぇロゴ見せやがるぜ。エコール社のロゴみたいに、もっとワクワクさせないと駄目だぜ。おまけに飛ばせないじゃないか。まさにクソゲーだぜ。」
 越前はそう言った直後、ハードがクソゲーという表現に違和感を感じ、顔を真っ赤にした。しばらくするとシンプルなECOLE社のロゴが軽快なリズムの効果音の使い回しにのって表示される。

「なんだぁ、このロゴはぁ〜」
「あのデスマスクと心躍る音楽を期待してたのに、くっそぉ〜〜、1作目なんてこんなもんか。けど、これだとエコールの偉大さが判らないのが口惜しいぜ」

 越前はデモを飛ばして早々にゲームをはじめる。
「なんか異様に文字がでかいな。初めてアウトラインフォント手に入れて、つい字を大きく作っちまう素人みたいな感じがするぜ。デスクリムゾンじゃもっと洗練されてたよな」
「音楽の最初に必ずプチノイズが入るのも困ったもんだぜ。デスクリムゾンじゃあ、そんな事は無かったよな」
「ゲーム始める前のルール説明の音質が異常にザラザラだぜ。さては、職場で普通に採ったな。デスクリムゾンじゃあ、世界中大ロケーションを行ったし、スタジオだって借りたよな」
 越前は決してライバル視していないと思いながらも、文句ばかりを口に出す。
 しかし、「うっ、オプションもごちゃごちゃしてて見にくいな」と言った時ばかりは少し嫉妬を抱き、言葉でかき消そうとわざと大声を出していた。

 こんな出来じゃあ、せっかくだけど『ぱおーん』と叫びたくはならないぜ。『宇宙初のパズルなの』ってキャッチコピーも気になるなぁ。デスビスノスが絡んでるように取られちまうぜ。おまけに目隠しのためにブロックが点滅しやがって目がチカチカしちまうぜ。ゲットだぜ!の時代に、これはやばいぜ。対戦は少し熱くなるって言うが、こんなゲーム対戦してくれる奴はそうそういないぜ。だからデスクリムゾンは1P専用の求道的ゲームになってたんだよな。………もうボロボロに越前は酷評している。

**ジリリリリン**

 越前の家の黒電話が鳴った。
「お、ダニーだな」そう思い越前はすぐに受話器を取った。

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