「よぉ、わりぃな」プレイ中の青年を押しのけて台の前に座るコンバット越前。
「なんだよお前、まだプレイ中なんだぞぉ」
「俺は急いでるんだよ、諦めろよ佐藤」
「佐藤って誰だよ。くっそぉ〜。このやろお。やりやがったなぁ。ゲーメストにこんな奴がいたって投稿してやるからなぁ」
佐藤は越前の顔を見てしまった時から早く切り上げたかったらしく、その場から捨てぜりふを残して早々に立ち去った。コンバット越前の傍若無人な振る舞い,急いでるなら何故ときメモゲームをやるのかの謎の異様さと共にギャラリーは少し距離を置きながらも、まだ、「ときメモおしえてyour heart」台を取り囲んでいる。
越前は座るなりボタンを適当にカチャカチャ押しクリムゾンを取り出す。またも群衆は引きが入り、台を囲む円は更に距離を置き大きくなる。ゲーム画面が主人公の自室からデート先に移り、女の子が登場すると同時に、
バーーン
越前は、女の子登場の瞬間と同時にクリムゾンで撃っていた。モニターには穴があき何も映っていない。
「あれ!?民間人だったのか……」
越前は、なおもバシバシとボタンを叩く。まだライフの残りがあると思っているようだ。が、それもしばらくすると変化しないモニタの意味に気づき、「なんだぁ、このクソゲーはぁ!!!」と怒り出す。
カッとしやすく行き当たりばったりの行動を選んでしまう面もある越前はもう手が付けられない。まずはこの筐体を壊したい。しかしどうする……