越前はときメモ筐体から飛び出し、壁際に設置されてあるリーサルエンフォーサーズ筐体にかけより持ち上げようとする。が、フロアと筐体が固定されていて数cmしか持ち上がらない。
「くっそぉ〜、止めやがったな」
越前はすぐさまクリムゾンを取り出し筐体の足を撃つ。その弾が跳ね返り、近くにあった越前の足に当たる。
「うっ!!!」
それにもへこたれず筐体を持ち上げようとする越前。が、筐体はやはり固定されたままだ。
「くっそぉ、進化してない銃ならこんなもんかぁ……」苦々しく言葉を漏らすと越前は、周辺で唖然としたまま立ちすくんでいる客全てをねらい撃ちしだした。
「オーノー」,「オーノー」と撃たれていく客達。
パニックにはならず事態の把握が行えないまま固まってしまい、ただ浮遊し銃の進化のために倒される敵のような状態になった客達に、越前は容赦なく1人につき2発、冷静にねらい撃ちしていく。1人3発入れるのは失敗する可能性も高いと判断した上での手堅い決断だった。
くっ、まだだ、もう少し倒さないと進化しないぜ。しかし客はもう新しく出てこない……銃撃つテンポが悪くなっちまうじゃねぇか。やはり所詮リーサルエンフォーサーズ作ったとこのゲーセンだぜ……こっちから動くとしても足を怪我しちまってるしデスクリムゾン並のスムーズな移動は出来ないぜ。あのにっくきリーサルエンフォーサーズの前で、ガクガクの移動を見せる醜態だけは避けたい……仕方ない。せっかくだから、今日のところは引き上げてやるぜ。
越前は既にときメモ筐体を忘れて、リーサルエンフォーサーズへの異常なまでの嫉妬とも取れる怒りに身をゆだねてしまっている。最後に、リーサルエンフォーサーズの筐体にクリムゾンで数発打ち込み、結局越前は、大量殺戮を行っただけで、片足上げながら帰っていった。
が、足を負傷し移動に時間が掛かったために、越前は目撃してしまった。
生存者の救出を行っている人間がときメモ筐体を移動させているのを。
「くっそぉ〜、せっかくだから、あっちを動かしてぶつければ良かったんだなぁ。パズルじゃねぇんだぞ、やりやがったなぁ!!」