デスクリムゾン アドベンチャープック

No.19

「よし、取ってやるぜ。元傭兵の俺に任しときな」
「わぁ、ほんとう?嬉しいな」

 越前はすぐにムービングウォークから体を乗り出し、柱にしがみついた。
 そして、ポスターが柱にそのまま張ってあるのではなく、保護用のウィンドウ内に張られていた事に、しがみついて初めて気が付いた。

「くっそぅ〜、やりやがったな。こんなウィンドウ肘で一発で割ってやるぜ」
 が、柱が丸いため、ムービングウォークから身体を乗り出したままの状態では思い通りに行動できず、その間にムービングウォークの後ろからやって来る通行客が次々に越前胴体ギロチンにぶちあたる。

「オーノー」
 後ろの通行客が越前胴体ギロチンにこかされ佐藤化している。さらにこれから越前胴体に向かう通行客は半パニック状態になっている。

「このやろお。ぶつかっといて挨拶なしか」
 越前はぶつかった通行客に文句を言ったが、相手は既にこけたままムービングウォークの更に前に進んでいた。越前はなおも保護ウィンドウへの攻撃を試みるが、次々とぶつかってくる通行客に体が揺らされ、いまだウィンドウには亀裂1つ入っていない。

「オーノー」
 通行客の1人…いや、佐藤の1人が、越前胴体ギロチンでこけずに、越前の体にひっかかってしまった。そのひっかかった佐藤のせいで、こけて下に抜けられず越前の体にどんどん押し固まっていく佐藤達。
「このやろお。重いじゃねぇか」
 越前も10人程佐藤がたまった頃になると、さすがに苦しそうに声をあげた。佐藤達はそれ以上に苦しそうだ。それでも越前は保護ウィンドウを拳でバシバシ叩くが15人目には越前も佐藤の流れを押しとどめられず、共に流れていってしまった。

ゲームの女の子のポスター欲しくムービングウォークから体乗りだし
負傷者10名 通行客一時パニック
 大阪梅田

 駅ですごく怒られたり事情聴取された程度だったのは幸いだったが、新聞記者の野郎目ざといぜ。しかし、なんであのポスター取りにいったんだぁ俺は………

 越前はアンリの事を完全に忘れ、そのまま福井県越前町に帰っていった。

 アンリは……やはり今も梅田駅で迷っていた。


おしまい


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