デスクリムゾン アドベンチャープック

No.11

「デスクリムゾン、シロ!」
 越前は、せがた三四郎の口調で若者達に向かって言い放つ。筐体を囲んでいた何人かが驚き越前の方に振り向く。
「え!?なんなの、おたく?」
「そうそう。個人の勝手っすよ」
「僕たちは恋愛小説を読むのと同じように、ときメモやってるんすから、何も異様な所なんて無いっすよ」
 くっ、このおたく野郎ども、俺はデスクリムゾンに関する事を話してるんだ。クリムゾンで撃ち殺してやろうか。しかし、そうするとデスクリムゾンの素晴らしさを理解せず死んじまうことになるぜ。それだけは避けたいな。そうだ、おたく野郎に人気の庵野秀明とかいう奴の振りしてやるぜ。俺は庵野って奴にそっくりだそうだからな。

「俺が誰だか判るか。元傭兵、今はアニメ監督。庵野秀明だぜ」
 自分でこんな風に名乗るのは恥ずかしすぎるが、他人の名前だと堂々と言ってのける越前。
「うわっ、ほんとだ。似てる似てる。マジ!????」
「俺が、せっかくだからデスクリについて聞いてやってるのに、ちゃんと答えないのは酷いぜ」
「す、すみません。僕は、卑怯で…臆病で…ずるくて…弱虫でした」
「自分が判ればデスクリムゾンができるはずだぜ」
「僕はデスが嫌いだ。
 でも、好きになれるかもしれない。
 僕はデスをプレイしてもいいのかもしれない。
 そうだ。僕はデスがしたい。
 僕はデスをプレイしてもいいんだぁぁぁ」
「おめでとう。おめでとう」越前が拍手と祝福の言葉を贈る。
「ありがとう」にこやかに微笑む若者。

 なんだ、簡単だったな、おたく野郎達には、こんな自己啓発セミナーもどきでOKなのか。
 しかし、良いことした後は気持ちがいいな。先を急ぐぜ。

越前はチルコポルト梅田茶屋町店を後に、さらに北上する。
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