A-08S-205Dバージョン改良受注開始

弊社では一昨年A-08パワーアンプのWE-205Dを使用したタイプを発売いたし、御好評を得てきました。

一昨年から今年までの間、2度に渡ってステレオサウンド社、管球王国誌に記事として掲載され多くのお方に注目されました。

その間、弊社の他のアンプで効果のあったアンプ回路や部品の採用によって更に音質向上が果たせることがわかりましたのでこの205Dアンプを改良、再発売することとなりました。

WE205Dは大変優れたアンプですがその出力は約1W強しかありません。そのため使用するスピーカーが限られます。アルティックやJBL,ラウザーなどの高能率なスピーカーが適合します。それらのスピーカーは変換効率が高く、能率が良いためアンプの出力は小さくてすみます。しかしその反面、アンプのノイズもそれに応じて大きくでてきます。WE205Dは一般的には交流点火でもノイズレベルはかなり少なく抑えることは可能ですが、真空管のばらつきやその他の理由で交流点火ではその出力ノイズにばらつきがでることが多いようです。そこで弊社ではWE205Dの点火方式を、A-09で好結果を得た、両波整流によるショットキーダイオード使用の直流点火方式に変更いたしました。回路のシンプル化のため定電圧回路は採用せず、ダイオードとコンデンサーのみを使用しました。これによって残留ノイズは0.4-0.6mVに低く押さえることができました。WE205Dに供給する電圧も少し上げ、最大出力は約1.3Wになりました。整流管は5U4Gよりも音の明瞭な80に変更しております。その他、前段回路の直流点火、弊社特製の黒檀ケースに封入したコンデンサーの採用、出力トランスの改良など、各部材にも最高品質な部品を採用しました。

また、シャーシー上には電流計を配置し、出力管の電流を常時チェックできるように致しました。貴重なWE205D真空管の動作状態が確認でき、その真空管のおおよその寿命が、この電流計で判断することができます。

これらの改良によってそのサウンドはより躍動感に富み、力強いものとなりました。弊社の大型の3ウエイスピーカーシステムや、ALTEC605Aで聞きますと300Bよりも遙かに力強く、くっきりしたサウンドを得られました。

本製品も受注生産にて受け賜りますが、出力管のWE205D込みでご注文いただきますとWE205Dを含めて1年間の動作保証をさせていただいております。もちろん、お手持ちのWE205Dをご使用いただくことも可能ですが、その場合は出力管を除く部材のみの保障となります。2005年7月現在、弊社では数セットのWE205Dを在庫しております。価格等は弊社まで直接お問い合わせください。

以下にこのアンプの仕様を記します。

出力管:WE-205D(丸形別売)

ドライバー管:WE-717A

整流管:80

最大出力:1.3W/8Ω

周波数特性:22Hz-30kHz(-3dB)

残留ノイズ:0.4-0.6mV

WE-205Dの動作条件

Plate Voltage: 380V

Plate Current: 25mA

プレート損失: 約9.5W

Rp: 5k ohms

Rk: 1.25k ohms

ドライブ方式:CR結合自己バイアス方式

価格:390,000円(税別・出力管別価格・受注生産)